2010年02月03日

元教職員側、逆転敗訴 国旗・国歌訴訟 職務命令は合憲(産経新聞)

 卒業式などで校長の職務命令に反し、国旗に向かっての起立や国歌斉唱をしなかったのを理由に、退職後に嘱託職員として再雇用しないのは違法として、都立高校の元教職員13人が1人当たり約560万円の損害賠償を都に求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は28日、都に賠償を命じた1審判決を取り消し、請求を棄却した。逆転敗訴となった元教職員側は上告する方針。

 稲田龍樹裁判長は、起立や斉唱などを指示した都教育長通達や校長の職務命令について「直接的に原告らの歴史観を否定する行為を命じるものではなく、思想・良心の自由を定めた憲法19条には違反しない」と指摘。その上で「原告らは職務命令に違反して処分を受けており、低い評価を受けざるを得ない」とした。

 平成20年2月の1審東京地裁判決は、通達や職務命令の違憲・違法性を否定する一方、「再雇用で、職務命令違反をあまりにも過大視し、勤務成績などほかの要素を考慮しないのは裁量権の逸脱、乱用だ」として計2750万円の支払いを命じた。

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日中歴史共同研究報告書 妥協求めた政治的研究(産経新聞)

 2006(平成18)年、日中両国が歴史共同研究で合意した後、中国のインターネット上には「日本の誤った歴史認識を正す機会」との声が相次いだ。中国の「正しい歴史観」で日本側を「再教育」せよ、との圧力を痛感したと中国側関係者は話す。31日公表された報告書を読むと、中国側が共産党の歴史認識を基本にし、日本側と対立する面と同時に、双方が歩み寄った面も目につく。それはなぜか。

 ◆戦略的互恵を促進

 日中歴史共同研究を最初に提起したのは05年4月に訪中した町村信孝外相(当時)だった。折しも、靖国神社参拝を継続した小泉純一郎首相(同)への中国側の不満が各地で反日デモに発展しており、提案はほとんど相手にされなかった。

 06年10月、小泉氏の後を継いだ安倍晋三首相(同)が訪中、胡錦濤国家主席との会談で未来志向の戦略的互恵関係構築で一致、安倍氏が提案した歴史共同研究で基本合意した。日中関係のトゲになってきた歴史問題を学術界に委ね、共通の認識を持つ狙いだった。

 こうした経緯から共同研究は政治とは切り離せない関係にあった。共同研究そのものが、戦略的互恵関係促進の一環という性格を帯び、報告書をまとめることに努めた。その結果、論議の多かった「近現代史」分野でも、両論併記の形ながら双方が意見を調整、妥協した形跡がうかがえる。

 中国の対日歴史認識は、19世紀後半以来、一貫して対中進出を企図し、日清戦争(1894〜95年)以後は軍国主義の道を歩み、中国を侵略し続けたというのが基本だ。この基本認識は共同研究でも貫いているが教科書の記述や戦争記念館の表示にもなっている事項を避けた部分もある。

 その代表的な例は、田中義一首相(当時)が天皇に対中侵略を具申したとされる「田中上奏文」を脚注で真偽不明とし、「南京事件」時の日本軍人2人による「百人斬り競争」をカットしたことだ。いずれも日本では疑問視されている。

 このほか、清末の「義和団事件」も、中国の教科書にある「帝国主義列強に対する愛国運動」との評価をせず、事実関係の記述にとどめ、日中戦争の発端となった盧溝橋事件についても、日本軍の謀略との断定を避けている。

 一方、日本側の報告では、座長の北岡伸一東大教授は昨年12月、「日本が中国を侵略し、中国人を殺害したのは事実」と述べたが、諸説ある満州事変(1931年)や盧溝橋事件について、中国側の事実認識と大差はない。「南京事件」に関しても捕虜らの虐殺はあったと認定し、被害者数に諸説あると述べている。

 ◆理不尽な宣伝抑制

 日中の政治的和解に発した共同研究に対しては、日中双方から異議が出るのは確実とみられる。とりわけ中国国内では、反日傾向の強いネット世代の反発が予想され、中国側が報告をどう報じ、内容をどこまで公開するかが注目される。

 今回の報告書は、第二次大戦終結までで終わり、戦後の報告は今後に持ち越された。北岡座長は共同研究を継続すべしとしているものの、戦後の歴史研究には中国側に厚い政治の壁がある。89年の天安門事件は、中国国内ではタブーだし、文化大革命はじめ日中関係にも影響を及ぼした多くの出来事についても共同研究の限界がある。

 しかし、こうした有識者間の交流は、「南京事件」の内部資料をもつ台湾の参加など、より範囲を広げて続けていく必要があろう。共同研究の成果が直ちに中国側の政治優先の歴史観に影響を与えることがなくとも、少なくとも理不尽な政治宣伝に歴史が使われるのを抑制できるに違いない。(北京 伊藤正)

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